今まで鉄道会社事情の記事はあまり受けが良くなかったのですが、「JR東日本、赤字5779億円でもボーナス2か月支給のカラクリ」という記事↓がよく読まれていましたので、もう少し深掘りすることにしました。
今回はJR東日本2021年夏ボーナス2か月を生み出す原資となった、定期昇給50%カットつまり生涯賃金減少について検証していきます。
社員平均3,200円/月昇給が減った
JR東日本では55歳までの社員に対し、毎年定期昇給を行っています。
今年はJRグループでも初となる定期昇給の減額に踏み切りました。
労働組合の発表によれば、減少率は50%、減少額は社員ひとり当たり平均3200円/月となります。
例えば基本給30万円の人が例年なら定期昇給で30万6400円に上昇するところ、今年は30万3200円になるということです。
基本給そのものが減少するわけではありませんので、賃下げではありません。
定期昇給カットによる年代別生涯賃金減少額について検証していきます。
ケース1:今年のみ定期昇給50%カット
ケース1では、今年のみ定期昇給50%カットの場合の年代別生涯賃金減少額を見ていきます。
基本給年間12か月とボーナス年間4か月という前提です。退職金も減りますが今回は無視します。
【25歳(昇給期間30年)の場合】
基本給減少額=3200円×16か月×30年=1,536,000円
【35歳(昇給期間20年)の場合】
基本給減少額=3200円×16か月×20年=768,000円
【45歳(昇給期間10年)の場合】
基本給減少額=3200円×16か月×10年=512,000円
ケース2:今年以降定期昇給50%カット
ケース2では今年以降毎年定期昇給50%カットの場合の年代別生涯賃金減少額を見ていきます。
その他前提はケース1と一緒です。
【25歳(昇給期間30年)の場合】
基本給減少額=3200円×16か月×1/2×30年×(30年+1)=23,808,000円
【35歳(昇給期間20年)の場合】
基本給減少額=3200円×1/2×20年×(20年+1)=10,752,000円
【45歳(昇給期間10年)の場合】
基本給減少額=3200円×16か月×1/2×10年×(10年+1)=2,816,000円
減少額の累計が1年目3,200円/月、2年目6,400円/月、3年目9,600円/月と、どんどん大きくなります。
定期昇給カットが続くと若い人ほど影響は大きくなります。
ボーナスより重要な定期昇給
このように定期昇給カットは生涯賃金に大きく影響します。
私もそうですが、社員も世間もボーナスばかりに目が行きがちです。
ですが、ボーナスの1回や2回出なくてもよっぽど定期昇給100%のほうが大事です。
昇給が停止した定年間近の方々は違いますが、、、。
生涯賃金確保より住宅ローン返済しなくちゃいけないからボーナスが欲しいという社員もいるでしょうから、会社に足元を見られている感じはありますけどね。
今後はボーナスなし、定期昇給なし前提の生活設計を考える必要があるでしょう。
まさか天下の?JR東日本でもこんなことになるとは!
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